午前0時のシンデレラ
3
ーー次の日、ふと思い立って、庶務課を訪れた。
フロアに足を踏み入れると、庶務課長が慌てて走って来て、
「…しゃ、社長! どのようなご用件でこちらへ?」
手揉みでもしそうに腰を屈めて、へつらってくるのに、
「……ちょっと見回りに来ただけだ」
と、軽くあしらう。
「見回りにですか……ですが、庶務課にどのような理由で、社長が直々に……?」
「……たいした理由じゃない。たまには色々な課の業務も見ておくかと思っただけだ」
「……左様でございますか」
媚びるような言い草がいちいち勘に触る。
「……付いて来なくてもいいから」
後を追って来るのを振り返ると、
「は、はい…」
と、ビクついたように立ち止まった。