午前0時のシンデレラ

「はい……一介の庶務課の社員が、社長に直に呼ばれるということでどんな好奇の目に晒されるのか、お気づきになられないでしょうか?」

感情を抑えて淡々と話して、

「……先日、社長が庶務課に来られた時にも、周りからは注視されていたんです……」

と、咎め立てるようにも言う彼女に、

「あ…ああ、すまなかった」と、謝る。

「おわかりになられたのなら、」

と、彼女がじっと目を見つめる。

「もうこのようなことで私に関わったりはしないでください。送っていただいたことには、感謝をしていますから」

とりつくしまもない言動に何も言えずにもいると、彼女は背を向けて出て行こうとして、

「ちょっと待てって」

と、呼び止めた。



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