午前0時のシンデレラ

「君に合うだろうと思って、買ってきたんだ」

箱の中のハイヒールに、彼女が目を落とす。

「……以前にもお断りをしたのに、どうして……ヒールが折れたのは、社長のせいでもなんでもないんですから、もらう理由なんて……」

「自分でも、どうしてだかわからないが……」

そこまで話して、その先をなんて言えばいいのかがわからなくなる。

無言でいるのに、

「……やっぱり、こんな高そうな靴はいただけないです…」

相変わらず首を縦には振らない彼女を前にして、

「……だったら、今度のパーティーにそれを履いて、俺のパートナーをしてくれないか?」

思わずそう言って、自分でも何を言っているんだとも感じていると、

「パーティーのパートナーを?」

と、彼女が聞き返してきた。



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