午前0時のシンデレラ

会場の外で待っていると……

「……お待たせしました」

声が聞こえて、振り返った。

「……えっ?」

かけているメガネをはずして、長い黒髪をアップにし、肩の見える淡い紫のドレスに身を包んだ彼女は、驚く程に綺麗だった……。

「……嘘だろ…」

あの地味な彼女が、ここまで美しくなるのかと、言葉を失っていると、

「…あの、似合わないでしょうか? こんなの、着たこともなくて……」

困ったようにも言うのに、

「いや、すごく似合ってる……綺麗だ」

思わず心の声が口からこぼれて、照れくさくもなる。


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