午前0時のシンデレラ

「……本当ですか、ありがとうございます。嬉しいです……」

はにかんでうつむく彼女に、見とれていて、

「……どうかされましたか?」

不思議そうに訊かれて、

「あ、いや…」

と、ふっと我に返った。

「……今日は、よろしくな…」

咳払いを一つして、彼女に手を差し伸べた。

「はい…私の方こそ、よろしくお願いします」

おずおずと添えられた手を、しっかりと握り締める。

招待状を示して、会場の中に入ると、

「おぉ、一条じゃないか! 元気だったか?」

早速、友人の三枝 俊樹(さえぐさ としき)が声をかけてきた。




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