午前0時のシンデレラ
「ですから、こういうお話で……」
と、話し続けるのを、半ば上の空で聞きながら、和室の窓の外に広がる庭に目を移す。
(俺は、いつからこんなにつまらない奴になったんだ……)
空いていたグラスに、会食の相手から酒が注がれて、笑い顔を作って一口を飲む。
話し終わった秘書が、「わかっていただけましたか?」と、やや酔って赤らんだ顔で訊いてくる。
「ああ、わかった」
話は半分も聞いてなかったが、どうせたいしたことなんかじゃない。
逆にたいした問題でも起こってくれれば、今は面白いくらいだった。