午前0時のシンデレラ
「……いや、本当に君の方が……」
もう一度言おうとして、喉の奥に言葉が詰まるような感覚を覚えた。
「……気をつかっていただかなくても、大丈夫ですから」
言葉を詰まらせたせいで、彼女にはお世辞でも言っていると思わせたらしかった。
だが、そうじゃないのは、自分が一番よくわかっていた。
……言えなかった。
今まで口先で何度も吐いてきたはずのセリフが、彼女を目の前にすると、なぜか言うことができなかった……。
(なんでだ……)
考えてみるが、なぜなのかがすぐにわかるはずもなかった……。