午前0時のシンデレラ

「……。いい加減にするのは、あなたの方よ…」

負け惜しみのようにも口にして、

「簡単にキスもできないようになるとか、つまらない男になったのね…」

と、頬を押さえた。

「……もう、行けよ…」

「言われなくても……」

と、背中を向け、ヒールを響かせて歩き去ると、

沈黙は、再び襲った。

「……びっくりさせて、悪かったな…」

呟くと、

「……構わないです」

と、彼女は応えた。

「誤解はしないでほしいんだが……」

言いかけるのに、

「誤解はしません……」

と、彼女が顔を上げる。


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