午前0時のシンデレラ
「……それじゃあ、私はここで。今日は、ありがとうございました」
たいしたことも言えないまま、別れの時が訪れる。
「…いや、俺の方こそありがとうな」
頭を下げた彼女の姿が、車窓を遠ざかる。
「……キスのひとつもできないとか…あのシンデレラは、本当に落ちないよな……」
腕時計を見ると、針は0時を刺そうとしていて、
(……シンデレラの魔法だけじゃなく、王子の魔法までも解けた気分だ……)
と、感じた……。