午前0時のシンデレラ
自分のマンションに着いて、タクシーを降りようとして、足元に紙袋が置かれていたのに気づいた。
中を見ると、箱に入った靴とご丁寧にドレスまでが畳まれていて、
「…チィ」と、舌打ちが口をついた。
「……やるって言ったのに、あくまで受け取れないって言うのかよ…。……いい加減、頑固なのにも程があるだろう……」
ぶつぶつと言いながら、部屋に向かった。
「……次の約束も取り付けそこねたし、もう落としようもねぇだろ……」
止まらない愚痴に、部屋で酒を飲み直す。
「…なんで落ちないんだよ……俺のことが、嫌いなのか?」
女にかつて嫌われたことなどもなくて、戸惑いしかなかった。
「……どうしたらいいんだって」
こんな風に付き合いで悩んだことすらなく、ただ彼女の心理が理解できなかった……。