午前0時のシンデレラ
2
ーーエレベーターで、最上階の社長室へ上がる。
ネクタイを緩めながら、デスクの書類に手を伸ばす。
「決済報告書ばかりじゃないか…」
手にした書類を、また元あった場所に戻した。
「…くっそ」
ひとり悪態をついて、パソコンを開け、未処理のメールをチェックしていく。
差し迫った案件に送信を済ませると、身体を伸ばしてイスから立ち上がった。
「今日は、もう帰るか…」
今夜はあまり残って仕事をする気にもならなかった。
ふと落とした視線に、0時になろうとしている腕の時計が映る。
「また、こんな時間か…」
スーツのポケットから車のキーを出して、指の先で軽く回しながら社長室を後にした。