午前0時のシンデレラ
デスクに頬づえをついて、脚立に上がる彼女を見るともなしに見ていた。
照明を取り付け終わって、降りようとした足元がぐらりと揺れたのが目に入って、
「あっ…!」
声を上げて、急いで駆け寄った。
足を踏みはずして、脚立から落ちかける彼女の身体を、両腕で抱きとめた。
「キャッ…」
「大丈夫だったか…?」
腕の中の彼女に声をかける。
「あの…ありがとうございます……」
見つめ合い、互いに黙り込む。
抱えている彼女の体温が微かに伝わって、赤くなり目をそらして、
「いや…いい……」
と、横抱きにした身体をそっと床に下ろした。