午前0時のシンデレラ

さっきまで抱いていたのに、あと数センチの距離にいる彼女に手を伸ばすこともできなかった。

「…じゃあ、もう行きますね」

行きかける背中に、触れようとして、

「ああ、ご苦労だったな…」

手を引っ込める。

彼女を前にすると、なぜこんなにも、切なくなるんだ……。

バタンとドアが閉められると、引っ込めた手を拳に握り締めた……。


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