キミが教えてくれたこと◆番外編◆
◆あの後…〜林茉莉花・天野晴人〜


バサバサバサッ!!!

茉莉花は束ねていた資料を派手に落としてしまった


「?林先生?どうかされましたか?」


教職員達の視線が一番後ろの茉莉花に注がれる


『…え!?あ、いや…すみません!』

茉莉花は慌てて資料を拾い集める



ーーありえない。だってハルトはっ…


混乱している頭を搔き集める資料に集中させ自身を落ち着かせようとする



『!』


その時、目の前に散らばっていた資料が手渡されるのが見えた





「…ほんと、茉莉花は変わってねぇな」


どうしようもないヤツ、と目尻を下げて笑っているハルトがそこにいる



『は…ハルト…なの?』


「ん、」


少し照れくさそうに短く返事をした




『………っ』



バタンっ!と大きな音を立てて茉莉花は後ろに倒れ込んだ




「は、林先生!?」

「茉莉花先生!」

「茉莉花!?」


教職員達が慌てて駆け寄るのが見えた

そこにずっとずっと会いたかったハルトが血相を変えて覗き込むのが見える



ーーあぁ、ハルト、昔より大人になってる…


そんな事を思ったまま、茉莉花は意識を失ってしまった








夢を見ていた

それはハルトと会えなくなってから毎日の様に見ていた夢だ


茉莉花は高校生で、ハルトも同じクラスの生徒

二人は最初こそ仲良くはなかったが、一緒に過ごしていくうちに打ち解け、登下校をしいつの間にかお互いが想いあっていて…。

そんなありふれた学生時代の夢

そんなありふれた幸せな夢



そしていつも目覚めると心にぽっかり穴が空いたように虚しくなる


そんなこと、ありえないのに。と…

もうハルトはいないのに。



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