キミが教えてくれたこと◆番外編◆
バッシーーーーーンっっ!!!
「ぃいっっってぇっ!!!」
茉莉花は勢いよくハルトに平手打ちをした
「なっ!茉莉花!なにすんだよ!!」
ハルトは殴られた衝撃で床に転がり左頬を抑えて怒りを露わにした
『それはこっちのセリフよ!なにしてんのよ!勝手に現れて勝手にいなくなって…また勝手に現れて!!私がどれだけっ…!』
そこまで言うと茉莉花は溢れんばかりの涙を流した
『私がっ…どれだけあなたに会いたかったかっ…。全然分かってない…!』
泣きじゃくる茉莉花を見て胸が締め付けられつつも、ハルトは立ち上がりベッドに座った
「…うん、ごめんな。すぐに会いに行かなくて」
『もうっ…ごめんは聞き飽きたっ…!』
その言葉にふっと笑ってハルトは茉莉花の瞼に口付ける
茉莉花はその行動に顔を赤くし、突然の出来事に涙が止まった
「…俺、事故にあった時打ち所が悪くてさ。ずっと、昏睡状態だったらしい」
『え…?』
ハルトは少し俯いた
「目覚めた時は事故からちょうど一年経ったって医者が言ってた。もうこのまま目覚めることはないだろうと思ってたらしいけど、目が覚めた時は奇跡だってすげー喜んでくれたよ」
『!』
ふとハルトの右手を見ると事故にあった時のものであろう痛々しい傷跡が長袖のシャツから見えた
「ずっとリハビリと治療をしてて、高校も一年留年。それでも教師の夢を諦めたくなくて必死だった」
『…ごめんなさい。何も知らないのに、勝手なこと言って…』
ハルトは俯く茉莉花の顔をそっと手で上げた
「…俺、信じてたんだ。絶対に茉莉花とどこかで会えるって。確かな理由なんてないけど、俺達があの時出会ったってことが全てだ。あんな奇跡、どこを探したってない。きっと運命なんだ」
茉莉花は涙を流しながら笑顔で頷いた