キミが教えてくれたこと◆番外編◆
「まぁ…後は…その…」
『?』
ハルトは少しふてくされた様に頭を搔き視線を外す
「もし…今、茉莉花に恋人とかいたりしたら…、会いに行きづらいなってのもあった…」
茉莉花は目を見開いてパシンッ!と先程よりは軽めにハルトの肩を叩いた
「いて!何すんだよ!」
『いるわけないでしょ!』
茉莉花は顔を真っ赤にして怒鳴った
『私には、ずっとずっとハルトだけだったんだから!ずっとずっとずっと、ハルトの事が好きだったんだから!』
「!うん、俺も。ずっと茉莉花だけを好きだったよ」
その言葉を聞いて茉莉花は堪らずハルトに抱き着いた
ハルトの存在を確かめるように、温度を感じたくてぎゅーっと力を込める
「………んーっと。茉莉花さん?」
『?』
茉莉花はきょとんとした顔でハルトを見上げる
「…俺ね、これでも結構いろいろ我慢してたんだよね。だから、あんまりそういうことされると…」
茉莉花は未だによくわかっておらず、ハルトを見上げるだけだった
「…だから、ここ、ベッドの上。…あんまり可愛いことされると襲いますけど…」
『!!』
茉莉花は勢いよくハルトから離れ布団で身を隠す
『ばっ、馬鹿じゃないの!?』
「仕方ないだろ!実体がない時なんて触れることも出来なかったし、そっから7年も想い続けてた相手が目の前にいるんだから…生殺しだわ!」
な、生殺しって…と茉莉花は口をパクパクさせる
「…ん、」
ハルトは両手を広げる
『なっ、なに』
「絶対襲わないから。だから、抱きしめさせてよ」
ハルトは顔を赤くして茉莉花に伝えた
茉莉花はおそるおそるハルトに近付くと腕を引っ張られ胸に収められた
『ちょ!』
「…ったかった…』
『え?』
何て言ったか分からず聞き返す
「会いたかった…」
掠れるようなハルトのその言葉にまた涙が溢れる
『うん!私もっ…!』
二人はゆっくり離れ目を合わせる
『おかえり!ハルト!』
「ただいま、茉莉花」
そしてどちらからともなく顔を近づける