キミが教えてくれたこと◆番外編◆
「茉莉花せんせー!身体の調子は…いかが…で…」
そこに勢いよく保健室のドアを開けた桃井が二人を見て固まった
茉莉花とハルトもそのまま固まる
・・・・・。
三人の間には数秒の沈黙が流れた
「な、何も見てませんから!お気になさらず!失礼します!!」
『も、桃井先生!!待って!!』
桃井は急いで廊下へ引き返す
そして扉から顔だけを出す
『………。』
桃井は笑顔で親指を立てるとそのまま保健室のドアを閉めた
ドアノブにかかっている看板を「出張中」に変え、誰も入らないように気を利かせる
「ふふふ、春ですねー」
そして何も言わず職員室に帰って行った
『さ、最悪…』
茉莉花はベッドの上で項垂れる
「ま、生徒じゃなくて良かったな」
『そういう問題じゃありません!』
茉莉花は生徒に叱る時と同じ言い方をしてしまって、あっ、と顔を赤める
「ふっ…ははっ」
『っははは』
二人は目を合わせて笑った
「これからは、同じ時間を一緒に過ごそう」
『うん、今度は私がハルトを支えてあげる』
また二人は笑い合い、そっと口付けた
夕日が部屋を照らし二人の影が重なっていた
END