そのプロポーズお断りします!
「タイガから『悠里に会った。絶対帰ってくるな。』とかメールが届いたから
慌てちゃったわよ。
絶対、襲ってるって思って急いで帰って来たの。
正解だったわ。」

ルームメイトの千尋(ちひろ)です。よろしくね。と言った女の人が
私をダイニングテーブルの椅子に座らせ、コーヒーを出してくれた。


私はまだカップを持つ手が震えている。

「悠里ちゃん。もう、大丈夫よ。
悠里ちゃんみたいな真面目な女の子は
すぐに寝たりしないんだってタイガによく言い聞かせておくから…」

「…」

「うーん。タイガってモテるし、なぜか女の子に拒否されないのよねえ。
まあ、選ぶ女の子達ってその場かぎりって感じなんだけど…」


タイガさんはふてくされた様子でソファーに座ってコーヒーを飲んでいたけど、

「悠里は違う。」とポツリと呟いた。

…何が?

「俺は悠里と一緒になるって、そう思ってたよ。」と立ち上がって私を真っ直ぐに見つめる。


「は?」何言ってるの?

「俺はずっと悠里と結婚するって思ってた。…悠里、結婚しよう。」とタイガさんは真面目な顔だ。



冗談はやめてほしい。


「…帰ります。」と私は静かにたちあがる。

会わないうちに頭が変になったの?

付き合ったことすらないのに結婚?ってどういう事?


「送っていく。」とタイガさんが言ってたちあがったので、

「ついて来ないで!」と叫んだ途端、



グー…キュルキュルと私のお腹が鳴った。






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