そのプロポーズお断りします!
テレビを見ながらヘルシーかつ美味しいご飯をいただき、

シンクの洗い桶につけてあったチヒロさんが使ったと思われる食器と一緒に自分が使ったものも洗って片付けた。

うーん。

やる事がなくなった。


何度かためらった後、

リビングに取り込まれたままの洗濯物が気になって畳み始めると手が止まらなくなった。

床に無造作に放り出されたファッション雑誌や料理雑誌も気になって種類別に発売順に積み上げ、

形が様々な美容グッズと、健康器具を箱に収納し、

使われていなさそうなブランド物のバッグの埃を払い、

ジャラジャラ絡まったアクセサリーをテーブルに広げてひとつづつ解きほぐしていると、

玄関のドアの鍵を回す音がする。

「悠理っ、いるか?!」と結構な勢いでドアが開いて、慌てたように入ってくるタイガさんの声が聞こえた。

「…帰るなって言ったじゃない」と目があった途端に憎まれ口が出てしまう私は素直じゃない。

「よかった。送るから用意して…
…部屋片付けてくれたんだ。
ありがとう、俺たちあんまり片付けるの上手くなくてさあ」

と照れくさそうに笑った顔は昔と変わらない気がする。と昨日に引き続き、また確認する。

絡まったアクセサリーはまた明日って事にして昨日も乗った赤いスポーツカーに乗りこむ。

低いエンジン音を響かせて車は走り出した。





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