七月八日のながれぼし
星の流れた日
1度も全身を浸したことのないプールに足先を沈めた。
ぴちゃん、とかすかな振動にたっぷりと張った水が揺らぎ、映っていた星は何本もの線になった。
それはまるで流れ星のごとく綺麗で、あたしは何度も足を水面で踊らせる。
今晩は空に雲ひとつ浮かんでいない、七夕。
祭りで騒がしい人の波からわざと逸れ、あたしはあいつの通う小学校に忍びこんでいた。
さすが田舎なだけあって、小さく古びた校舎はセキュリティがあってないようなもので、あたしたちはかんたんにその敷地内に足を踏み入れることができたんだ。
空ではいくつもの星がちかちかと、織姫と彦星の再会を祝っていて、まばたきさえも惜しい。
あたしは思わず口をぽかんと開けて眺めていた。
金平糖のような星屑は、なにかの拍子にころんと転がり落ちてきそうで、もしも口にしたら甘いのだろうか。
なんて、そんなばかなことを考えた。
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