七月八日のながれぼし
彼の中で線引きされた人たちのことを思う。
どこからどこまでが、彼に許された人間なんだろう。
ミツに受け入れてもらうことは、知らないうちにとても困難なことになったらしい。
ミツの吐いた息が、声が、あたしのむき出しの腕を撫でる。
「だって昔と違って優しいなんて言われても、僕にはなにもわからない。褒められているように思えない」
ミツはあの日から特別だ。
それよりずっと前から、あたしにとっては特別だったけど、それはすべての人に共通することではなかった。
だから、今の彼に認められることは、ただ純粋に幸せなことではない。
なんてさみしいんだろう。
視線を落としていたミツが顔を上げる。
あたしの肩に乗せたままの頭を動かして、彼の唇が頰に触れそうな距離に動きを封じられる。
「ねぇ、ナツ。空は遠いね」
ミツの長い指先が空に向かって伸ばされる。
その手は星の光を塞ぐためか、掴むためか、どちらの理由で上げられたんだろう。
「星の向こうに、僕の大切な人がいるんだ。……いるはずなんだよ」
「うん」
きらきらと光り輝く星の向こう。
流れ落ちる空の先。
「うん、そうだね」
そこに、あたしたちの想い人はいる。