七月八日のながれぼし
ミツの行動を真似て、あたしも視線を上げる。手を伸ばす。
唇を薄く開けて、言いたいことがあるはずなのに言葉は少しも出てこない。
そんなの当然だ。言えるわけがなかったね。
あたしのそばにいて、なんて。
空を見上げないで、なんて。
だってあたしもミツと同じで星の向こうに想いを馳せているから。
……ううん、本当は、ミツとあたしは違う。
あたしは、なにもかもわかっていながら、流れ星を求めている。
「明日は七夕だね、ナツ。きっと空の上では明日のための準備がされているんだろうね」
「……きっとね」
どうしよう。
たった一言なのに、ただの同意なのに、内容に関係なく涙がこぼれ落ちてしまいそうになった。
織姫と彦星は年に1度しか会えなくとも、ふたりの想いは変わらない。
確かな繋がりと、永遠がある。
あたしたちにも重なるところはあるはずなのに。
ねぇ、それならどうして、あたしはあいつの運命じゃなかったんだろう。