七月八日のながれぼし
七月七日の笹の葉
朝顔柄の浴衣を着た子どもが、あたしとミツのそばを駆け抜けて行った。
無邪気な笑い声、後を追う子たちの無防備にさらけ出された足は毎日外に出ているのがわかる色をしていた。
うちのおじいちゃんの作ったお饅頭や、子ども向けの駄菓子の入った袋を持っていたことを考えると、あの子たちは小学生くらいなんだろう。
昔はあたしたちももらっていたそれは、小学生以下にだけ配られるもので、ずいぶんと懐かしい。
今日は七夕祭り。
時期をずらすこともなく、梅雨真っ只中の七月七日に行われる祭りは田舎町故に規模は小さく、たとえ雨が降っても多少なら問題ないようにしている。
小・中学校の間は義務教育という甘えからサボり、高校生になった今は試験休みを利用して、物心ついた頃から1度だって逃したことはない。
どうしてそこまでしてあたしがこの祭りに来ていたかというと、理由はたったのひとつ────ミツだ。
帰省と言えば近所に住む父方の祖父母の家という我が家で、年に1度の母方への帰省は、ミツと約束したから。
毎年、祭りの終わりに「また来年」と言うから、あたしはここにやって来る。
だけどきっと、彼はそんなこと、知らない。
「ナツ、大丈夫だった?」
「平気平気、子どもは元気だねぇ」
「元気なのはいいけど、ナツも浴衣で歩きにくいのに……危ないよね」