喫茶リリィで癒しの時間を。
 
 彼らをみて、俺は、大人ってすげーなと思った。いろんな経験をしているからこそ、子供たちに的確なアドバイスができるんだ。


 鈴木のおっさんなんかには憎まれ口をたたいてしまうけど、俺は、喫茶リリィで知り合ったみんなのことをすごく尊敬している。

 仕事ができて、若手社員に的確なアドバイスができる竹内さんや、一生懸命ひたむきに働いている小林さんのこともだ。


「俺も、さゆりさんと同じ意見ですよ」


「冬馬くんのような若者に共感して頂いて嬉しいです。さあ、残りあと少しですね。さっさと終わらせてしまいましょう」


「はい!」


 明日になれば、実可子ちゃんやあいちゃんを始めとした子供たちがこのお店にやってくる。

 すでに飾り付けられた店内を見て、テーブルに並べられた豪華な料理をみてどう思うだろう。


 誰か一人くらいは、自分の知らないところで誰かが準備してくれていたことに感謝してくれるのだろうか。


 別に感謝されたいっていうわけじゃないけど、こうやって、影で頑張っている人たちの存在に気がついてもらえたら嬉しいな。

 そんなことを考えながら、店の飾りつけをしていた。

 


 
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