喫茶リリィで癒しの時間を。

 このジジィトリオがなぜ仲良しかというと、単純に幼なじみだかららしい。

 そして、なぜ毎日喫茶リリィに通っているかというと、もちろんこの人目当てである。


「冬馬(とうま)くん、お客様に乱暴な発言をしてはいけませんよ」


「……ごめんなさい」


「鈴木さんも、若い子を脅かすようなことはしないでくださいね」


「まったく、さゆりちゃんは甘いのう」


 鈴木のおっさんはぶつぶつ文句を言いながら、壁側の席に座った。その隣には溝口さん、石川さんはカウンター側の席に座る。これが三人の定位置だ。


「さゆりちゃん、いつもの頼むよ」


「僕も」


「私もいつもので」


「はい、かしこまりました。冬馬くん、おしぼりとお水をお願いしますね」


 トレイにおしぼりとグラスを載せてテーブルまで運ぶと、鈴木のおっさんに睨みつけられた。


「さゆりちゃんに何かしてみろ。絶対に許さんからな!」


「……何もいたしませんので、ご安心くださいませです」




 
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