喫茶リリィで癒しの時間を。
「宇垣冬馬っす」
「宇垣くんね、覚えておくよ」
俺のことそんな目で見てたなんてすげームカつく。でも、名前で呼んでもらえるようになったってことは、少しは認めてくれたってことなのか。
ここはポジティブに考えておこう。
「アメリカンコーヒーです」
「ありがとう。本当はさゆりさんのコーヒーを飲みたかったが、仕方ないか」
「……俺なんかですいませんね」
「はは、そう怒るな、冗談さ。君の淹れたコーヒーもちゃんとおいしいよ。もちろんさゆりさんには及ばないけどね」
竹内さんはからかうように笑う。普段よりもあどけなく感じるのは気のせいか。
「ありがとうございます」
「どういたしまして。ところで、以前から宇垣くんに聞いてみたかったのだが、君はさゆりさんのどういうところに惚れているんだい?」