喫茶リリィで癒しの時間を。
「ほ、惚れているって……」
惚れているっていうか、まぁベタ惚れなんだけど、改めて口に出して言われると恥ずかしい。
学校でも、友達と恋愛話なんてしたことがないから、このむずむずした感じがどうも気持ち悪くて慣れない。
「このくらいで照れるだなんて、まだまだ子供なんだな。うぶで可愛いじゃないか」
「可愛いとか言わないでくださいよ。そういう竹内さんは、彼女のどんなところが好きなんですか?」
「もちろん、あのルックスと小鳥のさえずりのように可愛らしい声さ。はじめて彼女をみたときに一目惚れしたんだ。なんていうか、ビビビときたんだよね」
「へえ。たいした理由じゃないっすね」
今度は俺がからかうように、というよりは小馬鹿にするように笑ってみせた。竹内さんの表情がすこしひきつっている。
「だったら教えてくれないか。君が彼女に惚れた、とっておきのエピソードをね」
「いいっすよ。相当ドラマチックなんで、覚悟しといてくださいね」