喫茶リリィで癒しの時間を。
 
「ありがとう」


 目を細めて笑う顔はもっと優しそうで、こっちまで笑顔になってしまうほどだった。


「こちら、メニューになります」

「それでは、ブレンドコーヒーをいただけるかな?」

「かしこまりました」


 サイフォンの準備をしていると、お客さんが、


「君は、まだ若そうだね……アルバイトですか?」と話しかけてきた。

「はい、そうですよ。店員は店長と俺の二人だけです」

「そうなんだね。ちなみに、店長はいくつくらいの方ですか?」

「えっと、二十代ですね」


 どうして店長の年齢なんて聞くんだろうと疑問に思ったけど、その謎はすぐに解けた。


「二十代か……ということは、私の知っている方はもういないのかな」

「えっ? 以前こちらにお越しいただいたことがあるんですか?」


 
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