喫茶リリィで癒しの時間を。
■お別れ?
少し名残惜しくもあるけれど、さゆりさんとお父さんに挨拶をして、喫茶リリィをあとにした。
予定より早くアルバイトが終わってしまい、手持ち無沙汰に感じる。
今からどうしようかな。すぐに帰っても暇だし。かといって、友達に連絡して遊びに行くほどの時間はない。
「……そうだ。たまには、客になってやるか」
すぐに帰ってしまったジジィトリオの存在を思い出した俺は、彼らの店に顔を出すことにした。
「小僧か。もうアルバイトは終わったのか?」
「今日はもう店を閉めたよ。暇になったから、コロッケ買いに来てやった」
「なんだ、偉そうに。……まあいい、何にするんじゃ」
「じゃあ、ビーフコロッケひとつ」
おっさんのコロッケ屋はどれも百円台で買える、財布に優しいお店だ。衣がさくっと揚がっていて、かつ具はジューシーだ。
ちょっと悔しいけど美味しくて、やみつきになる。中学の時はよく、部活帰りに立ち寄って食べたものだ。
「あいかわらずうめーな」
「当たり前だ、うちは長年コロッケばっかり研究しとるからな。……ついでにこれもやる」