喫茶リリィで癒しの時間を。
 
「はあ、良かったー。なくなるかもしれないって思うと不安でたまらなかったっす」


「ふふ、それだけこのお店を好きでいてくれているのですね。やっぱり、冬馬くんにアルバイトにきてもらってよかったです」


「……それなんですけど、お店赤字なのに、俺を雇ってほんとうに大丈夫ですか? たぶん、大学までずっと居座りますよ」


「もちろん、問題ありません。実は、あまり人には言っていないんですけど、副業でがっつり稼いでいるから大丈夫なんです。これ、秘密にしてくださいね」


「ふ、ふくぎょう?」


 さゆりさんは人差し指を唇に当てていた。すげー色っぽい仕草で、見てるこっちが恥ずかしくなる……って、そうじゃなくて。


 今、さゆりさん“副業”って言ったよな?

 
 毎日朝から夜までこのお店にいるのに、いったい他に何の仕事をしているっていうんだ。しかも、相当稼いでいるらしいし。

 深夜から早朝の間に稼げる仕事ってことか? 
 それって、つまり……夜のお仕事?






 
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