喫茶リリィで癒しの時間を。
「さ、さゆりさん、副業って何をしているんですか!?」
「それは秘密です」
「秘密って、まさか、言えないことをしているんじゃ……」
「少なくとも、冬馬くんが想像しているようなことじゃないですよ」
さゆりさんは箒を手に持ったまま、店の入り口まで歩く。
「時間があるので、外の掃き掃除をしてきますねー」
「ちょ、ちょっと! 勝手に通常営業に戻らないでくださいよ」
返事の代わりに、ドアの閉まる音が店内に響いた。
大きな心配事が解消された代わりに、違う悩みがまた俺を悩ませる。
でもまぁ、こうやって悩めるのも、このお店があるおかげだ。
「……ま、今日もいつも通りにがんばるか」
さゆりさんの副業は非常に気になるけれど、気持ちを切り替えて開店準備を進めることにした。