喫茶リリィで癒しの時間を。
「小僧、栗ご飯を知らんのか? 栗とご飯は意外と相性いいんだぞ」
鈴木のおっさんもなぜか自信満々だ。いや、おっさんが考案したわけじゃないでしょうとつっこみたくなる。
「わかりました、とにもかくにもまずは試食ですよね。いただきます」
チーズとホワイトソース、栗とバターライスを一緒にすくい、息を吹きかけて冷ましてから口に入れた。
「お、おいしい!」
チーズの塩辛さと栗の甘さが妙にマッチしている。食感もよくて、なんとも癖になる味だ。
「さゆりちゃん、これおいしいよ」
「間違いなく秋の看板メニューになりますね」
溝口さんと石川さんも大絶賛だ。さゆりさんは褒められてとても嬉しそう。
「わあ、よかったです。明日お父さんが来るので、食べさせてあげようっと」
“お父さん”という言葉がでたとたんに、ジジィトリオの顔がひきつる。
どうやらアレルギーになっているらしい。