喫茶リリィで癒しの時間を。
そもそも、さゆりさんが俺を雇ったのは、俺がしつこいくらいに頼み込んだからだ。
「給料はいらないから働かせてほしい」と言ったけれど、「偉い人に怒られちゃうからダメです」と断られて、結局毎月給料をもらっている。
給料はもったいなくて使うことが出来ず、【いつかさゆりさんにプレゼントをする貯金】としてコツコツ貯めている。
長く一緒にいたいという理由でアルバイトという手段を選んだけれど、さゆりさんを苦しめるくらいだったら客として通えばよかった。……と、今になって後悔し始めていた。
「それは出来ません。冬馬くんに来てもらって、すごく助かっているんですもの」
「え……?」
カウンターで、お皿を拭きながらにこやかに話すさゆりさんは……天使を通り越して、女神に見えた。
「たしかに一人でも回せてしまうけれど、二人だと安心感が違うんですよ。重いものを持ってもらえたり、お留守番を頼めてありがたいです」
「それならまあ、構わんが……」