喫茶リリィで癒しの時間を。

 溝口さんはそう話した後、優雅にホットコーヒーを口に運ぶ。
 いかにも忙しい人っぽく話しているけど、一日二回喫茶店に来ている時点で暇人だろと言いたくなる。でも癒し系の溝口さんにつっこむのはかわいそうだからやめておいた。


「勉強なんてしたいんすか? めんどくさいだけですよ。俺、毎日学校に行くのだるいですもん」


「若いときはみんなそうですよ。勉強が当たり前だったときは、早く解放されたいと思う。でも、教育から開放されてからは、勉強していた時間が恋しくなるものです」


「石川さんがいうなら、そうなんだろうなあ……。ちなみにみなさんは、どんな勉強がしたいんですか?」


 興味があったので聞いてみると、まず溝口さんが答えてくれた。


「僕はね、英語を習いたいって思っているんだよね。たまにお店に外国の方がいらっしゃるんだ。何がほしいのかよくわからなくてねぇ」


「そうなんですか。俺でよければ教えましょうか? 授業レベルですけど」


「本当? 助かるよお。今度、手が空いたときによろしくね」


 
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