喫茶リリィで癒しの時間を。
ルックスもスタイルも良くて、すげー会社の副社長で、さらに商店街の救世主。
商店街を愛するさゆりさんにとって、救世主であるということは高ポイントだろう。
どうしよう、さゆりさんが彼のことを好きになってしまったら。
さらに椿さんも彼女のことを好きになってしまったら。
突然押し寄せる嫉妬の波に飲まれた俺は、みんなと楽しく話ができなくなってしまった。
「あらやだ、もうこんな時間じゃないか」
「本当ですね、長く引き留めてしまってすみません」
時計の針はもう夜の十時を回っていた。
「もう外は暗い。今日は車で来ているので皆さんを送りますよ」
「じゃあ、さゆりちゃんと冬馬くんをお願いするよ。わたしたちは歩いてすぐだから」と、かしわぎご夫婦は歩いて帰っていった。