喫茶リリィで癒しの時間を。
俺とさゆりさんは椿さんのお言葉に甘えて車で送ってもらうことになった。
二人とも徒歩圏内だから断ったけど、「子供と女性を独りで帰すわけにはいかない」と椿さんに断ることを断られた。
椿さんの車は予想を裏切らない外国車だった。副社長ともなると、生活の質が違ってくるのだと実感する。
さゆりさんの中で、また椿さんの好感度が上がってしまったんだろうなあ。
ため息をつきたくなるけど、狭い空間だと目立ってしまうためぐっとこらえた。
「送っていただいてありがとうございました。では二人とも、お休みなさい」
「おやすみなさい」
先にさゆりさんをおろし、次に俺の家へと向かった。
恋のライバルかもしれないと思った瞬間、愛想よくできなくなってしまった。
椿さんに話しかけられても「はい」とか「そうっすね」としか言えない。
子供っぽい自分がまた嫌になる。