喫茶リリィで癒しの時間を。
「宇垣くんは、本当にわかりやすい少年だな」
「どういう意味っすか?」
「安心してくれ。君の大切なお姫様を奪ったりしないから」
「おおお、お姫様って!」
突然飛び出してきたキザな台詞に耳まで赤くなる。
そして、俺の気持ちが椿さんにバレていたということも恥ずかしい。
思い返してみると、椿さんだけでなく、いろんな人にバレているような気がする。
俺って、わかりやすいタイプなのだろうか。
「俺には可愛い婚約者がいるんだ。今度喫茶リリィに連れてくるよ」
「そうなんですか。……でも、椿さんがそうでも、さゆりさんの気持ちはわからないでしょ?」
「それはその通りだ。だが、男だったら嘆く前に“好きな女を振り向かせてやる”と奮起すべきじゃないか?」