喫茶リリィで癒しの時間を。
「さゆりさん、大丈夫ですか……?」
カウンター内に入り、困り顔のさゆりさんに小声で話しかける。普段はカウンター越しで話すことが多い分、距離が近いと緊張感も半端ない。
前々から感じていたけれど、さゆりさんは細いのに胸がでかい。いわゆるボンキュッボン体型だ。
豊かなそれはエプロンの上からでも主張していて、どうしても目が行ってしまう。
見ないように、見ないように。さゆりさんに変態って思われたくないだろ、俺!
何度も自分に言い聞かせ、雄の部分をひっこませようと奮闘する。
なんとか落ち着かせて、目線をさゆりさんのつぶらな瞳まで合わせた。
「ええ、私は大丈夫ですけど、奥側のお客様が――」
「――わかりにくい説明しやがって。おまけにこんな狭苦しい店に連れてきやがって、お前は本当に営業か!?」
お客さんの怒鳴り声によって、さゆりさんのか弱い声がかき消されてしまった。……許せん。
「大変申し訳ございません。ご、ご質問いただいた内容は持ち帰らせていただき……」
「客の質問にすぐ答えられてこその営業だろう! お前なんかに俺の貴重な時間はやらん!」