喫茶リリィで癒しの時間を。
「いえ、そんな。アイスコーヒーはとてもおいしかったですし、僕はどこかレトロで落ち着いた雰囲気のある、素敵なお店だと思いますよ」
「わあ、ありがとうございます。……そうだ、お時間よろしければ、コーヒー淹れ直しますよ。こちらにお座りください」
さゆりさんは、手でカウンター席を指し示した。お客さんは突然の展開に困っている様子。
「えっ、でも……」
「気にしないでください。うちの店長はサービスするのが好きなんです」
「は、はあ……」
お客さんは戸惑いつつもカウンター席に移動した。暑いのか、額には汗がびっしょりだ。
「お客様、よろしければ上着をお預かりしましょうか?」
「ああ、何から何まですみません。お願いします」
「いいえ。……冬馬くん、お客様の上着をお預かりして、壁にあるハンガーにかけてもらえます?」
「わかりました」
俺は言われた通りに、テーブル席近くの壁にあるハンガーにお客さんの上着をかけた。