喫茶リリィで癒しの時間を。

 
「はい。……あと、こうやって誰かと話しながら食事をするのってすごく久しぶりでして。今は一人暮らし中なので、もっぱら一人でコンビニ弁当を食べる生活なんです」


「それは、身体に悪そうですねえ。うちでよければ、いつでもご飯を食べに来てくださいね。……あ! そういえば、冬馬くんもお昼の途中じゃなかったですか?」


「はい、食べてる途中でした」


 さゆりさんの質問に答えていると、お客さんは“いいことを聞いた”と言わんばかりに笑って「よかったら、君も一緒に食べようよ!」と俺を誘った。


 お客さん、なんだかノリノリだ。人が変わったようでびっくりするけれど、本来はこういう性格なのかもしれない。


「えっ、俺も、ここでですか? さすがにそれは……」


「それ、いいですね。冬馬くん、エプロンをはずして、おかずを持ってきてください」

 
 そして、さゆりさんもノリノリだ。お客さんもさゆりさんも、自由だなあと少しあきれる。
 二人がそう来るなら、俺だって思ったことを言いたい。


「……じゃあ、さゆりさんも一緒に食べましょうよ。お昼まだですよね?」


「えっ、私もですか?」


 さゆりさんはきょとんと目を丸くする。そんなに驚くことなのか。
 
 


 
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