喫茶リリィで癒しの時間を。
……ということは、さゆりさんは爽やかな男がタイプなのかもしれない。
少なくとも、チャラい男が嫌いということはわかった。
バイトが終わったら近くの書店で爽やか系男子になれそうな雑誌を買おう。竹内さんの本は……探さなくてもいいか。
この際だから、さゆりさんにもっと質問をして情報を聞き出してみよう。
例えば誕生日や好きな食べ物、昔入っていた部活なんかも知りたい。
「あの、さゆりさんって――」
「――さゆりちゃん、お疲れえ」
タイミング悪くジジィトリオが再び来店してしまい、二人で話をする時間がなくなってしまった。
「いらっしゃいませ。皆さん、お仕事お疲れさまです」
でもまあ、いいか。さゆりさんは接客をしているときが一番輝いているから、お客さんが来てくれたほうがいい。
たとえ二人きりになる時間がなくて、彼女と距離を縮められなくても、幸せそうな彼女が見られるならそれが一番だと思った。