喫茶リリィで癒しの時間を。
 
「……昨日、クラスの友達に“明日家においでよ”って誘ってもらったの。それで、約束の時間に行ったら“あんたなんか呼んでない、帰って”って言われちゃった。その子の家には他の友達も何人か集まっていて、みんなで私のことを笑ってたの」


「ええ、ひどいですね。あいちゃんは呼ばれたから行っただけなのに」


「ひどいことされたのは、今回が初めてじゃないんだ。夏休みに入る前くらいから、学校で意地悪されるようになった。いつも一緒に遊んでいたのに、無視されたり、聞こえるように悪口を言われるようになって……」


 ここにいる誰もが、“いじめ”という三文字を思い浮かべただろう。


 今朝話題に出ていたせいか他人事には思えなかった。でも、どうして、あいちゃんのような普通の女の子がいじめの対象にあうのだろう。

 そして、いったいどんな子が彼女をいじめてるのだろうか。想像もつかない。


 さゆりさんは手を伸ばして、あいちゃんの頭を優しく撫でた。

 

 
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