喫茶リリィで癒しの時間を。
「辛かったでしょう。一人でよく耐えましたね」
「……うん、辛かった。でも、誰にも相談できなかったの」
再びあいちゃんの目に涙がたまっていく。きれいな涙が頬を伝う様子を見て、胸がえぐれるように辛くなった。
「一つ不思議に思ったんですけど、あいちゃんに意地悪した子のご両親は、注意しなかったのでしょうか? 学校でのことはわからなくても、今日の出来事は家にいたら気がついたと思うのですが……」
「その子の家は一階にお店があって、二階にお家があるの。おじさんとおばさんは、いつも店にいるから気づかなかったと思う」
「お店、ですか……」
石川さんが神妙な顔をして呟く。お店というワードに引っかかったのだろう。
さゆりさんも、さらに重い表情をしていた。