喫茶リリィで癒しの時間を。

「ごめんなさい、話したくなかったらいいんです。でも……思っていることを全部吐き出してみると、楽になれるかもしれませんよ?」


 顔を上げると、心配そうに俺を見つめるさゆりさんと目があった。今日初めて会った俺なんかのことを想って、悲しそうに眉を下げている。

 この人のことを良く知らないけど、思いやりのある優しい女性なのだということはわかる。


 人によってはおせっかいと感じるかもしれないけど、俺はとても嬉しかった。


「……俺、サッカー部に入ってるんですけど、今日の試合でパスミスして、そのせいで負けちゃったんです。県予選の決勝で、負ければ俺たち三年は引退が決まっていたのに。……俺のせいで、みんなを引退させてしまって」


「そうだったんですね」


「あのとき、俺がミスしていなければ、今頃は仲間たちと笑って過ごせていたのかなって思うと、辛くて……。俺のせいなのに、みんなにどう思われたのかも心配で仕方ないんです。嫌われてもおかしくないことをしたのに、あいつらには嫌われたくないんです」






 

  
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