喫茶リリィで癒しの時間を。
 
「そうなの?」


「そうですよ。だから、安心してくださいね」


「……ありがとう!」


 さゆりさんの優しさに触れて、あいちゃんは笑顔を取り戻した。


 俺やジジィトリオはほぼ黙って二人のやりとりを聞いていただけだ。口をはさんではいけない雰囲気だったし、なんとなく、こういうことは男より女の人のほうが向いている気がする。


「あい、そろそろ帰ります。あんまり遅くなるとママが心配すると思うから」


「では、私が車で送っていきましょう。冬馬くんも一緒に来ていただけるとありがたいのですが。さゆりさん、よろしいでしょうか?」


「え、俺っすか?」


 石川さんは、あいちゃんのお供に俺を指名した。いったいなぜだろう。
 さゆりさんは笑顔で「もちろん大丈夫ですよ」と答えた。


「冬馬くんがいてくれれば誘拐犯と間違われることはないと思いますので」


「……なんか、ごめんなさい」


 ”誘拐犯じゃないっすか”口にはしなかったけど、石川さんには伝わっていたらしい。

  

 
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