喫茶リリィで癒しの時間を。
「うわ、すげー家……」
あいちゃんの家は三建ての一軒屋だった。スタイリッシュなデザインで、バーベキューできるほもに庭が広い。駐車スペースに止まっている車は外国車だった。屋根にはソーラーパネルがついている。何から何まですべてイマドキだ。
お嬢様みたいだなと思っていたけど、本当に金持ちだったらしい。
「お家まで送ってくれてどうもありがとう! またあの喫茶店にいってもいい?」
「もちろんですよ。いつでもお待ちしております。それでは、おやすみなさい」
あいちゃんは元気よく手を振って、家へと入っていった。
「さて、私たちも戻りますか」
「うす」
あいちゃんを送ったあと、俺と石川さんは来た道を引き返した。
再び石川さんの店の裏までいき、車を降りる。
石川さんは店に顔を出してから行くということで、ひとりで商店街を歩くことになった。賑わっているこの場所をひとりで歩くのはすこし寂しい。
いつも喫茶リリィに向かうときはひとりで平気なのに、どうしてだろう。