喫茶リリィで癒しの時間を。


 あいちゃんは、どんな気持ちでこの道を歩いていたのか。
 友達に意地悪されて、ショックで泣きながら、頑張って一歩一歩進んでいたのだろう。

 去年、部活の大事な試合で失敗し、うちひしがれていたときの気持ちと似ているのかもしれない。

 まるで、出口のないトンネルを永遠に歩いているようなあの絶望感、もう二度と経験したくない。


 結局、部活の仲間たちは俺のことを責めたりしなかったし、引退後も仲良くしている。今考えれば、あんなに落ち込む必要はなかったかもしれない。


でもあの時は、人生終わったくらいに思ってたよな。……奇跡的に天使のような存在と出会えて、立ち直れた俺は幸運だったかもしれない。


 だんだんと日が沈み、グラデーションの空が俺たちを見下ろしていた。いつもならきれいな空の色だと感じるのにそう思えないのは、きっと、まだなにも解決していないからだと思う。


 
 

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