喫茶リリィで癒しの時間を。
■母と娘。
「ただいま戻りましたー」
「おかえりなさい。あら、石川さんは?」
「店に顔を出してから来るらしいです」
「そうですか」
喫茶リリィには、まだ鈴木のおっさんと溝口さんがいた。他にお客さんは来ていないようだ。
いつもと違うことといえば、ジジィたちはテーブル席ではなく、カウンターに移動している。
「珍しいっすね。カウンターに座ってるなんて」
「ちょっとね、三人でいろいろ相談していたんだよ」
「なんの相談すか?」
いつもにこにこ笑っている溝口さんが真剣な表情になった。その様子をみて、楽しい話ではないと察する。
「あいちゃんのことですよ。いじめの加害者が商店街の関係者と知ってしまった以上、見過ごす訳にはいかない。私たちに出来ることはないか、と相談していたんです」