喫茶リリィで癒しの時間を。
「昨日、鈴木さんが実可子ちゃんのお母さんにいじめのことを話したそうです。白井さんは“娘がいじめたという証拠もないのにおかしなことを言うな”と怒って、口論になってしまったらしくて。
それで、実可子ちゃんをここに連れてきて、話を聞き出そうってことになりました。お母さんは、休憩室でこっそり会話を聞くそうです」
「なんか、もめそうな展開になってますけど……大丈夫ですかね。少なくとも鈴木のおっさんはいないほうがいいと思いますね、俺は」
「それが、すごく張り切っちゃっていて。とても”来ないで”なんていえる雰囲気じゃないんですよね……」
温厚で心の広いさゆりさんも、さすがに困った顔をしていた。
さゆりさんを悩ませるなんて、あのくそジジィ許せん。
「まあ、とにかく、こうなった以上うまくやるしかないですよね」
「はい。冬馬くん、なにかあったらフォローよろしくお願いします」
「……できるだけ頑張ります」
俺にできることなんてあるのか? と思いつつもそう答えた。