喫茶リリィで癒しの時間を。

 クローズの状態にしているにもかかわらず、ジジイトリオは今日もモーニングにやってきた。

 いつもよりも口数が少ないのは、やはりこれからやろうとしていることが関係しているのだろうか。


 ジジイトリオが帰っていくと、店内にはさゆりさんと俺の二人だけになった。さゆりさんとじっくり話せるチャンスなのに、あまり話しかける気になれなかった。


「今日は二時頃に実可子ちゃんのお母さんがやってきて、三時ごろに私が実可子ちゃんを連れてきます。その頃にはお三方もいらっしゃると思いますので、私が留守の間はよろしくお願いしますね」


「わかりました」


 留守を任せられても、できることはお水とおしぼりを出すくらいだ。いまだにコーヒーの淹れ方や料理の作り方は教わっていない。

 俺もいつかはさゆりさんのようにサイフォンを使えるようになってみたい、とひそかに思っている。


「……そうだ。二時まで時間があるので、サイフォンの使い方、練習してみます?」


「ちょうど、サイフォンを使えるようになりたいって思ってたんですよ!」


 

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